Isao Tomita - Solveig's Song



それが夢だったとは、正直思えない。
誰に云ったところでおまえは狸に騙されたんだ、としかいわれないし。
結局、祠の裏で倒れているのを見つけて介抱してくれたのは茂作だった。

八坂の神様の御引き合わせなのだからと、誰も反対するものもなく
むしろ祝福を受けて夫婦となった。こうして元気な赤子を授かることが出来た。
しかしあの夏祭りの夜の記憶は夢にしては随分とはっきりと覚えているもので。
子どもを拐かし、また人形に作り替え、臓物を汁にして食ってしまう傀儡子などという
作り話にしても品のない話を誰も取り合ってもくれそうもなかったし。
もし本当にそうならあれからも毎年やってくる傀儡子たちは。
いったいなんなんだ、と商売の邪魔者扱いされそうな雰囲気を漂わせていたりもして。




だから・・私はあの傀儡子たちにからかわれたのだ。

その言い回しがいちばん正しいのかもしれない。
子どもたちの人気者がひと仕事終えたところで大きな鬼の人形を使って
忍び込んだ生娘をからかった。

そうさ、そういうことなのさ。



だがひとつだけ気になることがあるんだよ。

うちのボンの頭を撫でてるとね、頭のてっぺんにちょいと尖ったところがあるんだよ。
それがね日に日に大きくなっているんだ。








   
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