2011/01/13
「スクワーム」
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2011113

ssコミュ1月のお題<昆虫>で書きました」っということで。

文字数も少ないんで、変化なしの直球の680字。

昨年から取り掛かっているモノの実験作的意味合いとでもいいましょうかw

私の子どもの頃ですから相当昔なわけですがw

大発生したミミズだかゴカイの大群がアメリカの片田舎を襲うという

当時大流行の動物パニック映画の一本。

いやなんていったって、虫が人体に巣食うという描写がですな

もうね子供心にトラウマ。

たしかね、水野晴男の「水曜ロードショー」でやってたんだ。

飯喰ってるときに観てて、気持ち悪くなったな。

顔面にゴカイが喰い込んで行くシーンが。

そのシーン以外は凡庸な映画なんすけどね。

さて今回は実験作ということもあって肩の力が

完全に抜け切っているわけですが

なかなかクローネンバーグ的「内臓感覚」

(この言葉の由来は「映画秘宝」か?「STARLOG」か?)には

辿りつけません。ま、辿りついたら結構気持ち悪いよねw

 

子どもの頃は気になったものだが

いつしか余り気にならなくなったのだが

それはいつも身近に存在してきた。

だが成人を過ぎ、加齢の為であろうか

徐々に奴らの数が増えたような気がする

奴らといっても人間ではなく、生物でもなく

正直なところ私には解らない。

いやどうも医者にも詳しい事は解らないらしい。

視界の中に糸くずのような

半透明な影のような

蚊が飛び交うようなものが動き回る。

そのまま飛蚊症と名付けられた眼の症状で

大概の場合は病的ではないとの理由で放っておかれる

とるに足らない症状だ。

だがいつの日か、奴らが数を増して

音を持った。

私の視界を横切ると同時に右から左へと羽音が移動する。

それが一匹だけでなく数匹。

目を閉じてもあの忌々しい羽音が聞こえてくるようになった。

ひょっとしたら飛蚊症ではないのではないか。

本当に私の頭の中に蚊が飛んでいるんじゃないか?

私の脳には奴らの卵が産み付けられ、

ボウフラが前頭葉を巣食っているのではないか。

心臓の送り出す血液に乗り、

私の全身に奴らが廻っているのではないか。

あぁ、あの忌々しい羽音が聞こえる!

目を開ければ奴らの大群が見える!

ブツブツと皮膚が盛り上がって動き回っている!

穴という穴から幼虫が這い出してくるのではないか!

やめてくれ!

消えろ!

どこかへいってくれ!

躰を振り廻し追い払っても

発狂したように全身を掻き毟り

目を閉じ耳を押さえても

奴らはいる。

私の体内に。

だから私は自分の身体を覆う皮膚を全て剝ぐのだ。

そして殺虫剤を全身に塗りこむのだ。

血管に注入するのだ。

そうすれば奴らを根絶やしに出来る。

皆殺しに出来る!

忌々しい奴らから私の身体を取り戻すのだ!




       






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