「相棒」
右手でボタンを外し固定用のベルトをほどいて、グリップを握る。 ホルダーから引き抜き、銃口を相手に向ける。 相手にこちらが銃を携帯し狙撃可能であることを知らせる。 それから安全装置を外して。 持ち慣れたニューナンブM60と違い、銃身も短く、重さも軽い。 とはいえ殺傷能力はニューナンブと同様いやそれ以上と云われている。 「舶来品」という信頼感の薄さを、我が国の警察の特注品である称号J そしてSAKURAの愛称でカバーしたが、 なぁ、新入りよォ、一目見ただけで惚れ惚れするそのラインで 本当に俺を守ってくれるのか? ヤツは人質を盾に篭城を決め込もうというのか_。 ガラス張りの店舗に一番近いのはパトカーの蔭に隠れているオレだ。 援軍は来てくれたが、ヤツの銃の威力の前に前進すら出来ない。 音の割れたハンドスピーカーで命令が伝えられた。 「射殺命令が出たぞ!」 今日出会ったばかりのSAKURAよ。 オレはおまえに命を預けてもいいのか? ヤツの咆哮と怒号がして、連続する射撃音がして。 兆弾が頭をかすめる音がして。 只、一瞬、無音になった、そのとき。 俺は立ち上がりざま、ハンマーを引き、 目の前に立つマシンガンを持つヤツにむかってトリガーを引く。 ハンマーは.357マグナム弾の薬莢に叩きつけられて 即燃性ガンパウダーに引火、銃口で発せられるマズルスパークの大きさと 衝撃に戸惑うが、次のトリガー操作でシングルアクションの ニューナンブと同様の感覚を持つ事ができた。 二発目の衝撃は、最初のものほどではなく、むしろマイルドに感じた。 ヤツは初弾を右肩に被弾。 身を翻し人質に銃口を向けたヤツは二発目を前頭部に被弾し店の外に倒れた。 狙い通りだ。やるじゃないか、S&W M360J SAKURA、いい相棒になれそうだ。 |