本文へジャンプ

   


かつて我が国の傑作テレビドラマ「ウルトラマン」のエピソードの中に
「ジャミラ」という怪物の出てくるものがあって。米ソ宇宙競争の最中でもあって
変なリアリティとなんともしがたい感傷的なストーリーで記憶に残っていて。
個人的なものかと思えば、さすがに人気番組。しかも時代を超越した名作であるがゆえ
「ウー」と「ジャミラ」といえば、皆しみじみしてしまうんだな。
そんな名作を生んだホボおんなじような内容をハリウッドで「映画化!」しちゃった。
なんだけどハリウッドも広うございまして。

いちばん隅っこのヤツが作っちゃったんだろうな。
只のゲロゲロゲテゲテ映画になってしまったんですな。
宇宙から帰還した宇宙飛行士の体が溶け始め、なぜか狂暴化!ほいで
最終的には溶けてなくなっちゃうんだから放っておけばいいのに
アメリカの片田舎で釣り人は襲われるはデブの看護婦が走りまくるわの大騒動!
邦題「溶解人間」!もうね当時の小学生のあだ名にうってつけ!
ま、もっとも「妖怪人間」ベラ・ベル・ベロには敵わなかったわけだがなw
しかし暑いっすねぇーッ!
もうね、身も心もとろけますわ・・・
暗黒掌編工場2011年8月のお題「ダラダラ」で書きました。










溶解人間

 こんな蒸し暑い日に。
ダラダラダラダラ、吹き出すのは冷や汗だ。
頭頂部から額を伝い頬を滑り、顎の下で滴となり地面に落ちた。
その一部は、瞼の隙から眼に入り、塩分過多のせいか涙腺を刺激し不快な違和感
をもたらし、それを洗い除けようと大量の涙が溢れ出て、その涙は燃え立つ
体温のように熱かった。

 そのため視界が液体のプリズムに遮られたようで、歪んで見えた。
手で拭えばいいんだろうが、ダラダラダラダラ噴き出す腹部からの血を
止めるには・・いやそれよりアスファルトのように焼けかえったような
痛みを少しでも癒そうとするには手で押さえ続けるほかになかった。
背筋をダラダラと流れる冷や汗と激痛を伴いながらダラダラと腹部から流れる
熱い血液は下腹部で合流し更なる不快感を齎した。

  

 早く一歩でも早く逃げ出したいのだが足は縺れてダラダラ歩くほどの早さしか出ない。
激しい吐き気を催し、同時にどういうわけか腹筋を攣り前屈みになり嘔吐して
ダラダラダラダラ口から唾液を垂れ流し、
靴ひもが緩みダラダラダラダラ伸びている。
ダラダラダラダラ血は止まらず、
ダラダラダラダラ流れ続ける汗は気化せずに。
なにかの病気なのか、なにかの事故なのか?
容赦なく降り注ぐ陽の光が、手の皮膚を足の皮膚を焼いていく。
いやそうじゃない。体の中から溶け出てゆくのだ
いったいなにがおこったんだ!
あぁ溶けてゆく。

    

 足も手も、皮膚が焼けて、肉が溶けていく。
血管も、はらわたも。
溶けて流れてゆく。
焼けた体液の臭いがアスファルトにこぼれて
音をたてて直ぐに乾いてゆく。
ジュッ!ジュ!ジューッ!

   

 足がとけて、手がとけて。

ダラダラダラダラ、ダラダラダラダラ

臓物がとろけて、骨までも。

音が聞こえなくなった。

あぁ目ん玉が・・。

何も見えない。

悲鳴さえも。

溶けて。

ポト。

・・。






 

inserted by FC2 system