暗黒掌編工場　工場・月例企画201204

『Pink』をタイトルにして、ショートショート作品を書く。

ということでして、タイトルは勿論「Pink」であります。

ここのところひも付き企画が多かったもので

心機一転というか、久しぶりにストレートに単純なホラーなど。

故郷テキサスへの郷土愛を忘れないホラー監督フーパーの

まねっこというか、さんざん使い古されてきたネタなんですが。

最近のもベイのもアレですが、フーパーさんにはもちっと

頑張ってほしいです。

てなことでストレートに「テキサス電鋸殺人事件」って例の映画

のオフなコピーであります。

ピンクスライムってのは最近あっちじゃニュースになったんですが。

大半はペットフードに利用されている屑肉以下の肉で

どこかのハンバーガーに混ぜていてという話から騒ぎになった。

ところがアメリカの当局が「食品として悪いものじゃない、寧ろ

栄養価は高い。」と発言し思わぬ方向に転んだのでありました。

え、実話ですよｗ

歌劇「タイス」より「タイスの瞑想曲」（マスネ）

え？ウチの肉が、最高に美味いだって？

そりゃぁ・・おめぇ・・そうさろうよ。

ウチはそんじょそこらの肉屋じゃないんだ。

代々ウチじゃぁ地元産のいい豚ぁ潰してるんだぃ。

いい肉にしなきゃぁ・・よ、畜産農家さんに申し訳が立たないだろ。

そぅょ、だから機械にもさ、刃物にも気を使っているさ。

もう毎日のことだから、アレだけどさ。

仕事するのはあぁ・・午前中だけだな。

あとはホラ後処理とかさ、刃物とか機械の点検だよな。

仕事じゃないと思ってんだろ。

とんでもない。

機械とか道具の手入れってのは大事だぜ。

いいかい、俺たちが扱ってるのは、肉だ。

お前の好きな肉だ。

だがそれはただの「商品」じゃない。

「いのち」あるものの・・その「いのち」をいただいて。

インドだか中国だかの仏教のヒトが言うじゃないか。

「業」って、いうのかな。

だから・・俺たちをそんな目で見るなよ。

おめぇさんたちだって、それを喰ってるんだからさ。

だからその作業をする道具なんだ、大事に手入れするんだよ。

毎日、毎日、きちんと研いで切れ味を高めるんだぃ。

毎日、毎日、きれいに刃を磨き上げるんだぃ。

そうすりゃぁ苦しむことも少なくて済むじゃないかぁ。

そりゃぁ・・おめぇ・・そうさろうよ。

勿論仕事のときゃぁ、そんなこと考えちゃァいないさ。

そんなこと考えたら仕事にならないもの。

あぁ神経図太くなったさ。

でもこれが俺たちの仕事だからな。

あぁそれで肉を解体していくんだがな。

チェーン・ソウとかでかい刀とか・・。

あぁ勿論これも毎日手入れしている。

ここで、おおかたは部位に分けられてな。

で店に出される。

残った屑肉な。

ありゃぁ・・やはり使えるところとそうでないところがあるんだよな。

で、使えるところを選び出して機械にかけるんだ。

ミートグラインダーにかけてさ。挽肉にするんだぃ。

あぁ・・おめぇさんたち・・そういうと思ったぜ。

で、挽肉にも使えないような、ピンクスライムなぁ。

あぁ・・ペットフードに流用する・・ってクラスの肉だ。

ありゃぁ・・ここだけの話・・ウチじゃァ使ってないな。

いやぁペットフードになんてもったいない。

俺たちがいただいている。

ウチでさ。

あぁ、昔、ジャップが買いに来ていた。

ＢＳＥで牛のピンクスライムが買えなくなって

代わりに豚のピンクスライムを煮込んで米にかけて喰うんだってさ。

美味いのかね？

あぁ、違う、違う。

そんなの混ぜちゃいないさ。

本当さ。

え？ウチのハンバーグが美味いのは？

そりゃぁ企業秘密だよ。

そりゃぁ混ぜ物に違いないけどな。

あぁこの部屋に入っちまったからいうけどな。

あぁ怖がらなくていい。

毎日、研いでいるんだ。

シャープなものさ。

心配するな。

痛さは、ほんの一瞬だよ。