20130115


もちはだ

 






天白さんの持ち込み企画で「正月」をモチーフになにか書いてみよう!てなことで。
ここんとこフレンドボーイ42同志が主宰する短編コミュも停まったままだし、
いままで短編コミュと被ってしまうのを避けてきましたが
まぁ暫しの間「跡地」でも分量は自由に短期間な小品を書くのもアリかな?
てなことで、いつまでもつか知りませんが、新たな「跡地」の動きとして♪

不肖・平岩、去年もそうでしたが、
寒くなると人肌を欲するのでありましょうかR−18ですw
しかも公私共にどうも忙しくてですな。安易にモノを考えがちでございまして。
「正月」をモチーフということで「餅」と決めてしまうストレートさ。
今回の文章は年末から元旦にかけての職人長屋を舞台にした艶笑噺でございます。

今回のサウンドトラックは、いやぁさすがはYOUTUBE!
寄席の出囃子なんてものがあるんですなぁ。
お正月でございますので、賑やかにまいりましょうや!

今回自宅PCとモバイル環境と出先のPCからグーグルドライヴを使って書いてみたのですよ。
ファイルを持たない自由さというのはなかなかいいですなぁ♪
え?会社のPCは使ってません。使ってませんて。え?


 
もちはだ



  
師走の晦日ともなりゃぁ、吐く息は白くてよ。
こちとらぁ職人だからよぉ。オモテで働くのが常だけどさ。
やっぱりよ、この時季は手のさぁ、この悴むって感じがねぇ。
たまらなくつらいわけよ。なんつうかぁ、掌の感覚がなくなっちまう感じよな。
だからぁ。オモテにいるときは、こうやってよ右手と左手をさすってなければな。
温めておかねえと、仕事になんねえのよ。常に血行を良くしておかねえとな。
それでも寒いときゃぁよぉ、かかぁのよ、懐に手を突っ込んでよ、おぅ、ほう、ほう。
自慢じゃないがよ。かかぁのおみよってぇのは、いいおんなでね。
おいらン嫁にしとくにゃぁよぉ、ほりゃぁ勿体ないほどのおんなでね。
こんなよォ、オンボロ長屋においとくにゃ、へへ、掃き溜めに鶴さぁね。
まぁここのほかのかかぁ共ってのはょ、もう日焼けちまって皺くちゃでよ。
もののけとか化け物みたいだけどよ。
うちンおみよってのは、色白で可愛げのあるおんなでね。
へへへ、しかもいいケツしてやがる。
ちょいとケツを撫でてやろって手を伸ばしたらよ。
人前でなにすんだい!って、おいらの手をはたきやがって。
へへへ、照れやがって、可愛いじゃねぇか。

けどよ。師走の晦日ともなればよ。仕事なんか野暮なこたぁしやしねぇよ。
親方が暮れに長屋の衆にもち米を分けてくださってよ。
丸一日水につけてな。それから丸一日水を切ってさ。蒸し布で包んでよ。
竈で蒸籠で蒸してよ。ここまではおんなの仕事よぉ。
力自慢の職人衆の長屋だからな。餅つきとなれば、そりゃぁ威勢がいいや!
石臼をたわしで洗ってよ。
そこにアツアツに蒸したもち米をサラシのまんま放り込んでさ。
杵で練るんだよ、いきなりついたりしやしない。練るんだよ。
ちゃぁんと練りこんでからな。そこからよ、つき始めるんだがな。
ここでついている餅を杵の上がっている間にひっくり返す
返し手(かえして)という役割が必要でさ。
つき手と息が合ってないと返し手の手をつき潰してしまうからな。
だから夫婦で組む。
杵をおいらが担えば、おみよが返し手を担う。
おいらが杵を下ろす。おみよが餅を返す。
おいらが杵を下ろす。おみよが餅を返す。
おいらが杵を下ろす。おみよが餅を返す。
ほい。あいよ。
ほい。あいよ。
ほい。あいよ。
ほい。あいよ。

これが夫婦の「調子」ってもんさね。
小気味いいだろぅ!

ほい。あいよ。
ほい。あいよ。
ほい。あいよ。
ほい。あいよ。
ぺったん。あいよ。
ぺったん。あいよ。
ぺったん。あいよ。
ぺったん。あいよ。



ははは、いい塩梅じゃねえか。
餅がつきあがると、餅とり粉を満遍なく撒いた「のし板」のうえに乗せてよ。
熱いうちにさ形を整えてさ、鏡餅にするんだ。
丸くよ、丸く。まーるく、まるく。
丸くよ、丸く。まーるく、まるく。
丸くよ、丸く。まーるく、まるく。
丸くよ、丸く。まーるく、まるく。
するとさ、冷めて人肌の温かさになるとさ、へへ。
おみよのケツみたいにみえるじゃないかぃ、へへ。
こうやってさ、さわってるとさ。掌に収まるおみよの乳房のように感じるじゃないかぃ、へへ。
だからさ、念入りに念入りに、な、。
本物に触れねえなら餅でも触ってるさ。
お?なにを?!いつまで鏡餅つくってんだ、だと?!
いいじゃぁねぇかぁよぉ!次がつきあがったぁ?!

こんどの餅は「のし棒」で伸して広げてよ。伸し餅をつくるんだな。
奇麗に伸すにはよ、いっぱい粉ふってよ、最初は力強くな伸ばしてやるんだ。
ぉうよ、最初はちょいと強引なぐらいにな。
グっと腹の底に力を入れて、力いっぱいのし棒を転がしてやるんだ。
あんまりグリグリ転がすんじゃねぇや、いっきにな。
力を均一にかけるようにしてな。
ほいで粉ぁまたかけてさ。
またグっと腹の底に力を入れて、力いっぱいのし棒を転がしてやる。
こちとらぁ左官の職人よぉ、丁寧に仕上げてやるんでぇ。
今度は段々と力を抜いてな。やさしくやさしく伸ばしてやるんだぃ。
どうだぃこの真っ白なよ、餅肌よぉ・・
こうやってよ、撫でてやりゃぁ・・よう、人肌に冷めてよ。へへ。
どうだい、おみよの肌のようだぃ。へへへ。
お?なにを?!いつまでのし餅つくってんだ、だと?!
いいじゃぁねぇかぁよぉ!次がつきあがったぁ?!
んなことしてる間に餅も全部つきあがって、親方の家にも
長屋の連中にもお供えの餅が配られてよ。門にお飾りつけてさぁ。
大晦日は大掃除でさバタバタしてよ。日暮れが早いからさぁ年越しのそばを喰ってさ。
よう、寒いからよぉ、なぁ、おみよ、ょぃっ!
温かくなろうじゃねえかい。
片付けなんて野暮なことすんない、さぁさ布団しいてよぉ・・。
いいんだよ二つしかなくてもよ、ひとつでいいじゃねぇかい。
年越しでよ夫婦水入らずでひとつになろうじゃねえかい。
なんだい?おしろいなんぞ塗って。
おみよもその気かい?いいねぇ・・いいねぇ。
なにを?
恥ずかしいから暗くしておくれ?
へへ、かわいらしいことをいうじゃないかぃ・・。
なにを?暗いのも怖いから嫌だ?
へへ、ほいじゃぁ行燈を灯してな。
へへへそれじゃぁ布団にはいろうや、入ろうや。

ォぅ?
壁の薄い長屋だぜ・・ったく。
大家のしぶちんが透けて見えやがるほどだぜ。
隣ン佐吉夫婦もおっぱじめやがったらしい。声が聞こえてくるよ。
派手だねぇ・・。

え?私たちの声も隣に聞こえるのかい?って・・
気にするこたぁ、ねぇや。な。ささ、横になってよぉ。
隣に聞こえるなんて恥ずかしいよってかぃ?別に初めてでもあるめいし。
いやよ・・だと?へへえぃ、いやよいやよも好きのうちっていうじゃねぇかぃ。
いやぁオモテじゃ小雪が舞っているってぇのに。
雪のように白いおまえの肌ぁ温かいねぇ。
どうだいこのおんなの柔肌ってぇもんは!
まるでつきたての餅のようだぃ。
この肌触り、いやぁ餅肌とはよくいったもんだぃ。

寒いけどなこうやってよぉ、恥ずかしいって、おまえ・・。
ほいじゃぁ布団を被ってよ。へへ頭かくして尻隠さずとはこういうこった。
行燈の薄ら明かりによ、おみよの白い小ぶりな尻が浮かび上がってよ。
おいらンのし棒でよ後ろからよ突いてやろうぞ。
おいらが腰をぐいと突き出す。おみよの尻がぷるんとゆれる。

おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。
おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。
おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。
おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。

段々早くな。
おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。
おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。
おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。
おいらが腰を突き出す。おみよの尻がゆれる。
ぺったん。ひぃい。
ぺったん。ひぃい。
ぺったん。ひぃい。
ぺったん。ひぃい。

ぺったん。ひぃい。
ぺったん。ひぃい。
ぺったん。ひぃい。
ぺったん。ひぃい。

おみよのやつが気をやってよ、突き出してきやがるんで
おいらもホレ、根元まで突っ込んでやったらよ_。
そしたら。したらよ。
おみよの白い尻がよ・・まるで鏡餅のような白い
おみよの白い尻がよ・・
固まった鏡餅みたいにバックリと深いヒビが入って・・割れちまった!
カチンコチンの餅みたいにヒビが広がっていってよ!
バラバラと砕けちまった・・・。
おみよがよ・・。
おいらのおみよがよ・・!

おいらぁよぉ・・気を失っちまってよ。
気がつくと朝だったんで。
布団にはいっててさ。
いやぁさすがに正月だぃ、冷っけぃゃ。
しかしよう、変な夢見ちまったなぁ・・って布団の中でぬくぬくしてたのよぉ。
そしたらよお勝手からよ
あんた・・はやく起きなよ・・っておみよの声が聞こえるじゃね。
さーさ、お雑煮ができたよ・・ってさ。
へへ、へんてこな夢ぇみちまったなぁってんで布団を片付けてよ。
ちゃぶ台出してよ。さぁ雑煮食ったら、お諏訪さまに初詣だぃって。
おみよのヤツが振り返った瞬間、腰を抜かしたぃ!
おみよの真っ白い顔の半分がよ・・。
ひびが入って、ばらばら床に、こぼれおちたんだい・・。






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