悦楽


Prism - Love Me

 ジャングルの中の施設とは思えない程の大理石を敷き詰めた広い浴場にイリーアは全裸の若い娘をふたり従えて入ると、
手桶で湯を掛けさせ浴槽に身を沈める。ジャングルの中でも珍しいとされる毒々しいまでに赤い花の花弁が浮かんでいる。
アメリカやヨーロッパの好事家たちが高い金を払ってでも欲しがる催淫効果のあるとされるとされるシロモノである。
紅潮した白い肌を撫でながら、浴槽から上がるとホルヘ・エスコヴェードが日本のソープランドで至極感動した余りに購入してきた
という変な格好のイスに座る。ふたりの娘たちはイリーアの両側から体を洗う。
イリーアは深く溜息をつく。
「いいかい、私はこれからとても楽しみにしてる客に会うんだよ。
あんな情けない男たちの臭いを残しておきたくないんだ。
丁寧に洗っておくれよ。そんな無粋なタオルなんかで洗うんじゃない。
おまえたちの手垢塗れの手で私の美しい肌を汚さないでおくれ。
そうさおまえたちの舌で舐めて洗っておくれ。
丁寧に奇麗に舌で舐めて洗っておくれ。」
すると娘たちはイリーアの身体を丁寧に舐めまわす。
耳のくぼみ、耳の裏、毛髪の生え際、首筋、顎の付け根、下顎、頬・・。
花の催淫効果もあり、思わず溜息を吐く。
脇、肩、脇腹、乳房。
「そう。優しく。丁寧に。」
指と指の間、掌、手首。
今夜着く船に乗っている新たな女囚_。

2日前マナウスから運び屋のダビが送ってきたメール_。
韓国人の組織がつまらない悪戯を仕掛けてダビの手下にピラニアの川に沈められた。
商いは信用が第一というが其れを守れない奴等には死が待っている。
ただそれだけのこと。だが漁夫の利というものもある。
ダビはその組織に紛れたある女を捕まえた。
韓国人なのか、中国人なのかはわからない。
東洋人は皆同じ顔をしているから。
だがその女の背には白い蝶の入れ墨があった、という・・。
私はぴぃーんときたんだ。
あの女だ。
黒い髪に白い肌。
白い背中には暗闇でぼんやりと光る白い薔薇の入れ墨。

LADY ROSE_。
噂に名高い女殺し屋。

DEAが人質奪還の
ために送り込んだに違いない。
だが、たいしたことないね。簡単に捕まるなんて。
丁度いい。「国家元首」殿に、少し肝を冷やしてもらおうか。
しかし、いったいどんな女なんだろう。
その美しい肌とはどれほどのものなのだろう_。
数多くの男たちを殺してきた女とはどれほどのものなのだろう_。
さぁ、楽しませておくれ。
ダビには褒美をやらねばね。

太腿、膝の裏、膝、内腿。
「そう、ゆっくりゆっくり、丁寧に。」

女殺し屋の女の部分はどうなっているのか_。
幾多の男を骨抜きにしたという女の部分は。

そう綺麗に舐め上げるのよ。

左側の娘の歯が膝に触れた。
イリーアは突然立ち上がると娘を激しく蹴り上げた。
「歯が当たったわ!この雌豚が!」
脱衣場まで蹴りだすと鞭を手に取り振り上げた。
娘の柔肌に飛ぶ鞭の音そして娘の悲鳴が大理石の壁に響いた。



 
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